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「発達障害とメンタル疾患」 (8月: 坂寄和弘 相談員)

     つい先日まで、サッカーのワールドカップをやっていました。私はあまりサッカーは見ませんが、ブラジルのネイマールという選手の名前ぐらいは知っています。そのネイマール選手の件で、面白い記事が新聞に掲載されていました。
  ネイマール選手と一般のノンプロレベルのサッカ―選手に横になってもらい、足を動かす動作をしてもらって脳のどの部分が活動しているのかを測定してみたという記事でした。詳しくは忘れましたが、ネイマール選手は他の選手に比べて、足を動かす時の脳の活動部位がものすごく小さいそうです。つまり、ネイマール選手は通常の人よりも複雑な足の動きが可能になるため、あの華麗なドリブルやフェイントが可能なのではないか・・というような記事でした。
  私は脳科学者ではないので詳しくは分かりませんが、それは生まれつきの特性なのか、訓練によって出来るようになったのか、あるいは両方なのか・・・分かりません。おそらく両方なのでしょうが、私のような凡人には到底不可能な「神の領域」なのでしょう。
  ここ数年、発達障害がベースにあるうつ病、適応障害の人たちが増えています。色々なタイプがいますが、脳の特性、使い方が普通の人たちとはちょっと違うところがあるので、いわゆる「普通の」ことが出来なかったり、「常識的な」行動がとれなかったり、対人関係でトラブルを起こしたり、コミュニケーションが取れなかったりして、結果的に会社などで不適応を起こしやすいのです。これもやはり脳の使い方、特性が普通の人とは違うためと考えられています。
  ビルゲイツ、スティーブジョブズ、トムクルーズ、スピルバーグ、岡本太郎、エジソン・・・彼らは発達障害と言われています。発達障害の人が全てこんな天才的な人たちではないでしょうが、発達障害の人たちは、何かしらの特定の分野でその能力や特性を生かせる場所さえあれば、平均以上の能力を発揮する場合もあります。その逆も然り。
  テレビを見ていたら、中国の工場でゴマを一粒一粒選別して、つぶれたゴマをピンセットで取り除く作業を一日中やっている作業員の話をしていました。私なら、間違いなく1日でメンタル疾患になると思いますが、単純作業が苦にならないタイプの発達障害の人ならば、この作業も続けてやれるかもしれません。
  好きなこと、得意なことだけを会社の中でやるのは難しいかもしれませんが、環境と本人の特性との不適合、ミスマッチ。そのミスマッチをいかに埋めていくか、いかに少なくしていくかの工夫が、発達障害の人への対応では特に必要になるのではと思います。

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